松井須磨子
スノーマン事務所 HOME > 松井須磨子

松井須磨子

音楽劇の構想へ

この企画は野口雨情研究における〈作曲家中山晋平履歴調査〉の中で生まれました。
きっかけは2003年中山晋平記念館(長野県中野市)でのコンサート出演時でした。いただいた「松井須磨子展」のプログラムが「日本初の歌う女優」の生々しい写真であふれていたのです。作成したのは松井須磨子研究家で作家の宮坂勝彦氏でした。須磨子のそれまでのイメージは〈カチューシャの唄をうたい、不倫の果てに後追い自殺した激情の女性〉でした。ところが、写真と解説で若い頃からの須磨子の生涯をたどるうちに、彼女の舞台女優としての生々しい姿が目の前に立ち現れてきたのです。
松井須磨子(本名小林正子)33年の波乱に満ちた生涯は、これまで様々な形で取り上げられ舞台化されてきました。ただその多くが須磨子のプライベートや「女性としての生き様」を取り扱いながらも、「舞台女優」としての社会環境や資質・感性・才能と努力につては余り評価せず、彼女の強い性格や行状を半ば興味本位に、外面的に(スキャンダル的に)取り扱うことが多かったようです。須磨子の内面に触れることなく、彼女の真の姿を評価していない・・・と考えるようになりました。
私は彼女が文芸協会と芸術座での6年間に〈35演目・2012回主演〉という実績に着目しました。短めの作品の二本立てを含むとはいえ大変な数です。作品ごとに一定期間の稽古が必要なことを考えると、驚異的な数字です。須磨子に「普通の生活」をする余裕がどれだけあったのか?彼女にとり「実生活」はある意味「舞台生活の踏み台“陰”の部分」だったかもしれません。
この企画は「舞台上の須磨子」に焦点を当てて再現する一つの試みです。彼女が自死する前日まで演じていたのはメリメ原作の「カルメン」でした。カルメンは自分の真実の愛を貫きあえて死を受け入れた女です。須磨子はオペラの「カルメン」を観ていました。
須磨子と同じく舞台に生きるバリトン歌手が「須磨子の夫・前沢誠助」となって須磨子を語り、オーケストラの音響とともに、舞台の上に須磨子の亡霊を蘇らせます。

内容

舞台は大正十二年東京のある小学校。校長の前沢は取材の電話を受ける。四年前に起こった事件―松井須磨子の自死―について、元夫としての意見を求められた。電話のあと前沢は事務員の小山に報告書を書き取らせるが、様々な思い出が生々しくよみがえってくる。二人の会話の中に須磨子の亡霊が立ち現れ、その舞台が再現されてゆく・・・。演奏される曲は実際に須磨子が唄い演じた作品から14曲。とくに自死した前夜まで演じていた「カルメン」が須磨子を絡め取るかのごとく唄われてゆく。

初の里帰りで

カルメンの須磨子

生地長野市での再演チラシ
キャスト 松井須磨子 ソプラノ
前沢誠助 男優/またはバリトン歌手
事務員 女優/または朗読家
演奏 全編エレクトーンによるオーケストラ伴奏
演奏時間 約70分間
上演記録 2005年11月3日  東京都 ヤマハエレクトーンシティ渋谷[初演]
2006年10月28日 長野市 しなのきホール 
曲目 曲名 作詞・作曲
序曲「花園の恋」 中山晋平 作曲
「復活」より「カチューシャの唄」 島村抱月/相馬御風 作詞 中山晋平 作曲
「生ける屍」より「さすらいの唄」 北原白秋 作詞 中山晋平 作曲
「沈鐘」より「森の娘」 島村抱月/楠山正雄 作詞 中山晋平 作曲
「水藻の花」 島村抱月/楠山正雄 作詞 小松耕輔 作曲
「緑の朝」より「緑の朝の唄」 小山内薫/長田秀男 作詞 中山晋平 作曲
「カルメン」より「前奏曲」 ビゼー 作曲
「恋の鳥」 北原白秋 作詞 ビゼー/中山晋平 作曲
「煙草のめのめ」 北原白秋 作詞 中山晋平 作曲
「酒場の唄」 北原白秋 作詞 中山晋平 作曲
「タロット占いの場」 ビゼー作曲
「運命のテーマ」 ビゼー作曲
「フィナーレ」 ビゼー作曲
「花園の恋」 北原白秋 作詞 中山晋平 作曲
「その前夜」より「ゴンドラの唄」 吉井勇 作詞 中山晋平 作曲
ご依頼・お問い合わせは
お電話またはお問い合わせフォームより受付しております。


お気軽にご相談くださいませ。